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― 股関節の構造と働きを分かりやすく解説 ―

執筆・監修
人工関節センター長
柁原 俊久 医師

公開日:2026年9月10日

広報担当

柁原先生、今回から股関節のしくみや病気、治療について教えていただきます。第1回は、股関節の基本的な構造と働きについて教えてください。

柁原医師

はい。股関節は、体重を支えながら、脚をさまざまな方向へ動かす重要な関節です。基本的な構造と働きを知ることは、股関節の痛みや病気、治療を理解する手がかりになります。今回は図を見ながら、股関節のしくみを分かりやすく説明します。

股関節をつくる主な構造

股関節を構成する主な骨や組織の位置を、図で確認してみましょう。

股関節の構造(寛骨臼・大腿骨頭・関節軟骨・関節唇・関節包)

股関節は、骨盤側のくぼみである寛骨臼(かんこつきゅう)と、大腿骨の先端にある球状の大腿骨頭(だいたいこっとう)が組み合わさってできています。このような形は「球関節」と呼ばれ、ボールと受け皿のような構造をしています。

股関節の主な働き

  • 体重を支える
    立つ・歩くときに体重を受け止め、体を安定して支えます。
  • 衝撃をやわらげ、滑らかに動かす
    関節軟骨が股関節に加わる力を分散し、衝撃をやわらげながら滑らかな動きを助けます。
  • 姿勢やバランスを保つ
    周囲の筋肉とともに骨盤を安定させ、立つ・歩くときの姿勢やバランスを保ちます。
  • 脚をさまざまな方向へ動かす
    脚を前後・左右・回転方向へ動かし、歩行や立ち座りなどの動作を支えます。

股関節は、球関節という構造と周囲の筋肉の働きによって、脚を前後・左右・回転方向へ動かすことができます。主な動きは次のとおりです。

  • 前後に動かす
    脚を前に上げる(屈曲)・後ろへ動かす(伸展)
  • 左右に動かす
    脚を外側へ開く(外転)・内側へ寄せる(内転)
  • 回転させる
    脚を外側へひねる(外旋)・内側へひねる(内旋)

股関節は、これらの動きを行いながら、立つ・歩くときの体重も支えています。

なぜ股関節は「支える」と「動く」を両立できるのか

「しっかり支える」と「大きく動く」
骨の形や、関節軟骨・関節唇・関節包・筋肉の働きが組み合わさることで、この2つを両立しています。

関節軟骨が担う「クッション」の役割

寛骨臼と大腿骨頭の表面は、「関節軟骨」という滑らかな組織で覆われています。関節軟骨には、主に次のような働きがあります。

  • 動作時に加わる力を分散する
  • 関節面の摩擦を減らす
  • 関節を滑らかに動かす

関節軟骨には通常、痛みを感じる神経がないため、軟骨自体が直接痛むわけではありません。ただし、軟骨の変化に伴って骨や関節を包む組織などに負担がかかると、痛みや動かしにくさにつながることがあります。

関節唇と関節包が股関節を安定させる

股関節は、骨の形だけで安定しているわけではありません。寛骨臼の縁にある関節唇と、関節全体を包む関節包も、安定性を保つ役割を担っています。

関節唇(かんせつしん)
寛骨臼の縁を取り囲む線維軟骨で、受け皿を深くし、大腿骨頭の安定性と関節の密閉性を高めます。

関節包(かんせつほう)
関節全体を包む丈夫な袋状の組織です。関節包を補強する靱帯とともに、動きすぎを抑え、股関節の安定性を保ちます。

股関節の動きと安定を支える筋肉

股関節の動きと安定性には、お尻の筋肉(殿筋群)、太ももの筋肉、体幹の筋肉などが関わります。これらの筋肉が連携することで、脚を動かすだけでなく、立つ・歩くときに骨盤を安定させ、姿勢やバランスを保ちます。

日常生活で股関節にかかる力

立つ・歩く・階段を上り下りするなどの日常動作では、股関節に体重を上回る力が加わることがあります。その大きさは、動作の種類や速さ、姿勢、筋肉の働きなどによって変わります。

  • 歩く
    片脚で体重を支える時間があり、股関節周囲の筋肉も働きます。
  • 階段を上り下りする
    片脚で体を支えながら上下に移動するため、平地歩行とは異なる力が加わります。
  • 片脚で立つ
    骨盤を安定させるため、支えている側の股関節周囲の筋肉が働きます。
歩行、階段昇降、片脚立ちをする人物のイラスト

このように、股関節には日常のさまざまな動作で力が加わりますが、それ自体は自然なことです。

この記事のまとめ

  • 股関節は、体重を支えながら、脚をさまざまな方向へ動かす関節です
  • 寛骨臼と大腿骨頭が組み合わさる球関節で、安定性と大きな動きを両立しています
  • 関節軟骨・関節唇・関節包・筋肉などが、それぞれの役割を担っています
  • 歩行や階段、片脚立ちなどの日常動作でも、股関節にはさまざまな力が加わります

広報担当

股関節は、骨だけでなく、軟骨や関節唇、筋肉などが連携することで、安定性と動きやすさを保っているのですね。では、これらに変化が起こると、どのように痛みにつながるのでしょうか。

柁原医師

股関節の痛みには、骨や関節を包む組織など、さまざまな部分が関係します。次回は、股関節のどこで、どのように痛みが起こるのかを説明します。

受診をご検討の方へ
股関節の痛みや歩きにくさが続く場合は、人工関節センターへご相談ください。診察や検査の結果を踏まえ、患者さんの状態に応じた治療方法をご説明します。紹介状がない方や、手術を受けるか迷っている方も受診いただけます。

次回予告
第2回 股関節はなぜ痛む?そのしくみを整形外科専門医が解説
2026年9月下旬公開予定

この記事の監修医師

人工関節手術支援ロボットMakoの前に座る柁原俊久医師

柁原 俊久 医師

戸塚共立いずみ野病院
人工関節センター長

専門分野
股関節外科/膝関節外科/外傷外科

資格・主な役職
・日本整形外科学会専門医
・日本人工関節学会認定医
・日本股関節学会 評議員
・日本人工関節学会 評議員

編集・構成:戸塚共立いずみ野病院 広報

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