変形性股関節症とは?歩く・立つがつらくなる股関節の病気
変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで炎症や変形が生じ、足のつけ根の痛みや歩行障害を引き起こす病気です。特に日本では先天性股関節脱臼の後遺症によるケースが多く、女性に多く見られます。

こんな症状はありませんか?
これらは変形性股関節症の初期症状かもしれません。
- 足のつけ根やお尻のあたりが痛い
- 長時間歩くと足がだるくなる
- 靴下を履くのがつらい
- 足を引きずって歩く
- 階段や坂道の上り下りがきつい

変形性股関節症の主な原因
寛骨臼形成不全
(かんこつきゅうけいせいふぜん)
日本人女性に多い原因です。生まれつき股関節の受け皿(寛骨臼)が浅く、骨頭のはまりが悪い状態だと、関節に無理な負荷がかかり、軟骨がすり減りやすくなります。
加齢(年齢による変化)
年齢を重ねることで軟骨が自然とすり減り、股関節が不安定になります。60代以降の女性に多い発症傾向があります。
股関節への過度な負担
体重が重い方、長年にわたって膝や股関節に負担のかかる仕事やスポーツをされていた方は、関節の劣化が早まる傾向があります。
過去のケガや病気の影響
股関節の骨折・脱臼・炎症などの既往歴が、数年〜数十年後に変形性股関節症を引き起こすことがあります。
変形性股関節症の進行度と症状
前股関節症
股関節の軟骨がまだ保たれている状態
前股関節症(ぜんこかんせつしょう)は、変形性股関節症のごく初期段階を指す言葉で、股関節の軟骨がまだ保たれている状態です。レントゲンでは明らかな異常が見られないことも多く、見逃されやすいのが特徴です。
主な症状
- 股関節まわりに重だるさを感じる
- あぐらや正座がしづらい
- 階段の昇り降りがつらい
- 靴下を立ったまま履けない

この段階では「年齢のせいかな」「疲れがたまっただけかも」と見過ごされがちですが、放置すると関節の変形が進行してしまいます。
初期
軟骨がすり減り始めた段階
股関節の関節軟骨が徐々にすり減り始めた段階で、まだ大きな変形や痛みは目立ちません。
主な症状
- 股関節まわりに違和感やこわばりを感じる
- 長時間の歩行や立ち仕事で股関節がだるくなる
- 立ち上がりや歩き始めに痛むことがある
- お尻や太もも、膝にかけての関連痛が出る

この段階で運動療法や体重管理を始めることで、進行を防ぐことができます。
進行期
痛みと運動制限がはっきりしてくる段階
軟骨の摩耗が進み、関節の隙間が狭くなり変形も始まる時期です。関節の動きが制限され、日常生活での不便さや痛みが明らかに増してきます。
主な症状
- 歩行時や階段の上り下りで痛みが強くなる
- 正座やしゃがむ動作が難しくなる
- 股関節が硬くなり、靴下が履きづらい
- 長く歩けず足を引きずるような歩き方になる
- 股関節の可動域が狭まり、足の動きが制限される

この時期は保存療法だけでなく、症状よっては手術を視野に入れることがあります。
末期
関節の変形が進み、痛みが日常を支配する段階
関節軟骨がほとんど消失し、骨同士が直接ぶつかり合うようになります(骨硬化・骨棘)。股関節の変形も明らかになり、日常生活に大きな支障が出ます。
主な症状
- 安静時や夜間にも股関節がズキズキ痛む
- 少し歩いただけで痛みが強くなる
- 杖や歩行器なしでは歩けなくなる
- 骨盤が傾き、体が左右に揺れるような歩き方になる

この段階では、人工股関節置換術(THA)などの手術治療が有効で、多くの方が痛みの改善と生活の向上を得ています。
対処法と治療方法
保存療法
初期・進行期
- 股関節周囲の筋肉トレーニング
- 体重管理による負担軽減
- 痛み止めや薬物療法
- 温熱療法やストレッチ
- サポーターや杖の使用

手術療法
保存療法で改善しない場合
保存療法で症状が改善しない場合や、日常生活に支障が出るレベルまで進行した場合は、手術が検討されます。
- 股関節鏡手術
- 骨切り術(骨の角度を調整して負荷を分散)
- 人工股関節置換術(痛みの大幅改善が期待できる)

股関節の痛みや動かしづらさは、日常の小さな不便から始まることが多いです。
変形性股関節症は早期発見と対処療法で進行を抑えられる病気です。「このくらい大丈夫」と思わずに、気になる症状がある方は、当院の人工関節センターにご相談ください。
当院の治療について
ロボット支援人工股関節手術
当センターでは、人工関節手術に日本で初めて承認された整形外科用ロボット支援システム「Mako(メイコー)」を導入しています。
膝や股関節の痛みに悩んできた方々へ、より身体への負担が少なく、再現性の高い人工関節手術をご提供するため、ロボット支援手術を行っております。
